2018年で創業60週年を迎えたダイワは、スピニングリールの新たな規格となる「LTコンセプト」を発表しました。
ダイワの人気機種である、お手頃価格帯3モデル(18フリームス、18カルディア、17セオリー)を比較していきたいと思います。
※今回比較を行うにあたり、カタログに載っていない部分はダイワに直接聞いてみました。
この記事の概要
- LTコンセプトとは?
- LT機(18カルディア)と非LT機(17セオリー)の違い
- 目的別おすすめリール
18カルディアLT5000D-CXH購入してみました⇓
【ダイワ18カルディアインプレ】LT5000D‐CXHの各部重量とサイズ18フリームスと15フリームスの違い⇓
【ダイワ15&18フリームス徹底比較!】2506HとLT2500S-XHの違いをインプレ(素材や各部重量も)Contents
LTコンセプトについて
2018年、ダイワはLTコンセプトという新しい規格をスタート!
実に数年ぶりとなる、思い切ったスピニングリールの規格刷新です。
画像参照元:ダイワ
LTコンセプトとは?
「LT」とは、Light(軽い)&Tough(タフ)の略
本来なら、軽いと剛性が弱くなり、剛性を確保しようとすると、強度の高い重たいメタル素材を使わざるをえなくなる。
ところが、「軽いけど強い!」という、この相反する要素を共に実現させたというのが「LTコンセプト」です。
LTコンセプトのサイズ表記の見方
LTコンセプトでは、サイズ(番手)の構成が大きく変更がされています。
画像参照元:ダイワ
従来の番手より、同じ型番ならサイズが小さくなり、中間的なサイズも登場。
サイズの新旧を比べると、LT4000番は従来の3000番クラスに相当するサイズになっています。
ほぼシマノのサイズバリエーションに近い番手分けになった感じです。
数字に続くアルファベットの意味
数字の次記号はスプールの糸巻き量を表しています⇓
- S=浅溝スプール
- SS=超浅溝スプール
- D=深溝スプール
- 無=標準
それに続く「C」は、「コンパクト」という意味で、ワンサイズ小さい品番よりボディーです。
つまり、「3000-C」なら2500番のボディーということになります。
その後はギヤ比です
ギヤ比を表すアルファベット
- P=パワーギヤ(ローギヤ)
- 無=ノーマルギヤ
- H=ハイギヤ
- XH=エキストラハイギヤ
※パワーギヤは、従来機でのノーマルギヤと同等のギヤ比になります。
例えば、「LT5000D-CXH」の場合だと
「5000番サイズで深溝スプール、ボディーはワンサイズ小さくて、エクストラハイギヤ」
という意味になります。
【どこが違う?】LTコンセプトのお手頃価格帯を徹底比較
LTコンセプトスピニングリール汎用モデルの主力(売れ筋価格帯)となるのが、2018年にモデルチェンジされたカルディアとフリームスです。
画像参照元:ダイワ
画像参照元:ダイワ
最新モデルであるカルディアとフリームスを比較して行くにあたり、カルディアを見て気がつくのはボディー部分。
2017年に発売されたセオリーと同じです⇓
CALDIA
THEORY
非LTモデルである17セオリーですが、価格も近いことで購入時の比較対象になりやすいと思われますので、この3機種の違いを比べてみたいと思います。
17セオリー/18カルディア/18フリームスのスペック比較表
僕は基本的にシーバス釣行が多いもので、比較するデータはシーバス釣りに最も需要のあるLT4000番サイズで行います。
LTではないセオリーは、従来の相当するサイズである3012Hとでスペックを表で比較してみます。
採用されている機能の違い
THEORY | CALDIA | FREAMS | |
マグシールド | ◯ | ◯ | ◯ |
ATD | ◯ | ◯ | ◯ |
ツイストバスターⅡ | ◯ | ◯ | ◯ |
エアローター | ◯ | ◯ | ◯ |
エアベール | ◯ | ◯ | ◯ |
ABS | ABSⅡ | LC-ABS | LC-ABS |
アルミスプール | 薄肉型 | 超薄肉型 | 超薄肉型 |
素材(ボディー/ローター) | ザイオン/ザイオン | ザイオン/DS5 | DS5/DS4 |
ギア | マシンカットデジギア | タフデジギア | タフデジギア |
ラインローラーBB | ◯ | ◯ | × |
ねじ込み式ハンドル | ◯ | ◯ | ◯ |
ラインクリップの形状 | 従来型 | 新形状 | 新形状 |
※セオリー3500番/4000番のローターはDS5製です
スペック比較表
THEORY | CALDIA | FREAMS | ||
型番 | 3012H | LT4000-CXH | LT4000-CXH | |
巻き取り量 | 95 | 99 | 99 | |
ギア比 | 5.6 | 6.2 | 6.2 | |
重量 | 220 | 225 | 240 | |
最大ドラグ力 | 7 | 12 | 12 | |
糸巻き量 | ナイロン(lb-m) | 12-150 16-100 | 10-190 12-150 14-130 | 20-150 |
PE(号-m) | 1-280 1.5-200 | 1.2-310 1.5-200 2-170 | 2-300 | |
BB(ボール/ローラー) | 7/1 | 6/1 | 5/1 | |
ハンドル長さ/ノブ | 60/T型 | 60/T型 | 60/T型 | |
価格(円) | 33,000 | 26,500 | 18,500 |
ボールベアリング数の違い
ボールベアリング(BB)が採用されている数は、セオリー(7BB)⇒カルディア(6BB)⇒フリームス(5BB)と、グレードによって差別化が図られています。
当然ながら、上位機種ほどベアリングの数が多いのですが、どの部分が違うのでしょうか?
カタログには載っていない各モデルごとのBB採用箇所を、ダイワに聞いてみました。
18フリームス(5BB)
- ピニオン部✕2
- ドライブギヤ✕2
- オシレートギヤ✕1
18カルディア(6BB)
- ピニオン部✕2
- ドライブギヤ✕2
- オシレートギヤ✕1
- ラインローラー✕1
17セオリー(7BB)
- ピニオン部✕2
- ドライブギヤ✕2
- オシレートギヤ✕1
- ラインローラー✕1
- メインシャフト✕1
※赤文字は、18フリームスと比較してBB(ボールベアリング)が増えている箇所です。
フリームスにもピニオン2点BB支持構造を採用
カルディアは、14カルディアで採用されたピニオンBB2点支持構造を継承。そして、驚くことにフリームスにも採用されました。
このピニオンギヤを支える部分が弱いと、高負荷時にブレーキが掛かったような状態になって巻けなかったり、耐久性に大きな差が出る部分です。
この辺が、従来のエントリーモデルと高級モデルを分ける部分にもなっていました。
つまり、従来なら「安物買いの銭失い」とでも言うべき差別化がなされていたのですが、NEWモデルでは1万円台のフリームスにも採用されてきたのは驚きです。
BB数と配置場所で変わること
フリームスとカルディアのベアリングの差は、ラインローラーBBの有無だけですが、これが結構重要なポイントでもあります。
ラインローラーBBがあると…
- 糸ヨレ低減
- ラインの負担軽減
➾つまり、トラブルを減らし快適に釣りができる
フリームスの場合、ライトラインを扱う釣りではベアリングチューンが必須となりそうです。
カルディアとセオリーには標準でラインローラーBBが採用されている上に、ベアリング追加で2BB仕様にすることも可能。
セオリーにはメインシャフト部分にもBBが配置されていることで、よりなめらかな回転を実現しています。
ギアの違い(タフデジギアとは?)
画像参照元:ダイワ
ギアはリールの心臓部!
NEWモデルでは、新開発の「タフデジギア」が採用されています。従来のギヤよりもカット面を大きくし、より高負荷にも耐えられるようになっています。
ホームページにはこのタフデジギヤの素材についての表記が無いので、ダイワのCSに確認してみました
ギヤの素材
- 18フリームス・カルディア➾亜鉛(タフデジギヤ)
- 17セオリー➾ジュラルミン(デジギヤⅡ)
ギヤ剛性ならタフデジギヤ
素材特性としては、通常なら亜鉛よりジュラルミンの方が強度が上です
【ダイワスピニングリールの素材と特性を知ろう】用途に合ったリール選びのポイントを解説ただし、ギヤの設計自体が変わったために、素材だけで判断をすることが出来なくなりました。
ダイワCSの回答では、ギヤ単体の剛性と回転耐久性は、従来製法であるジュラルミン製デジギヤⅡよりも、亜鉛製でも新型LTシリーズのタフデジギヤの方が上とのことです。
ボディーとローターの素材
ボディーとローターも、リールの剛性や耐久性を決める重要なパーツです。
いくらギヤ強度が上がっても、それを支えるフレームの剛性が低くては、高負荷が掛かった時にボディーがよじれて可動部に抵抗をかけてしまい、本来の性能を発揮することができません…
では、その肝心なボディー剛性はどうでしょうか。
DS5ボディーのフリームス
左:15モデル、右:18モデル
剛性の非常に高いアルミボディーが採用されていたおかげで、頑丈だけどめちゃくちゃ重いのが難点だった15フリームス…
【ダイワ15&18フリームス徹底比較!】2506HとLT2500S-XHの違いをインプレ(素材や各部重量も)NEWモデルではアルミボディーを廃止し、DS5(カーボン強化プラスチック)の新たに開発された物に変更。大幅な軽量化を実現しました。
ただし、DS5は確かに「ライト」な素材ですが、DS5素材のリールを使用した経験では、負荷をかけて巻くと結構捩れるので強度に不安を感じます。
一見、剛性を犠牲にして軽さをとったように感じますが、頑丈なアルミボディーを廃止しても「タフ」だとダイワが言うのは、ギヤ強度向上とベアリングの配置変更によって剛性が確保できたという事のようです(※ダイワCSの回答では、総合的な剛性はルビアスと較べても同程度とのことですが、それは流石に言い過ぎだと思います)
ザイオン製ボディーのカルディアとセオリー
18カルディアは、17セオリーと共通のザイオン製のボディーです。
カルディアのはDS5ローター、17セオリーにはザイオンローターが採用され、フリームスよりも軽くて剛性が高いのが特徴です。
単純にボディーとローターの剛性においては、
17セオリー>18カルディア>18フリームス
と、グレードによってしっかり差別化が図られています。
ドラグ性能に差はある?
カタログ数値だけ見ると、たしかに新モデル2機種は最大ドラグ力が増しています。
ただし、ドラグの動作環境はスプール軸受け部分の構造やローターの剛性にも影響されるので、単純に新モデルの方が性能がいいとは言いきれません。
ローターにDS4を使用しているルビアスを使用していましたが、高負荷時に結構歪む。そのせいか、ドラグの効き方に少しギクシャク感があり、同じドラグ機構を採用しているはずのセルテートとは、滑らかさに雲泥の差がありました。
最大ドラグ力の値=ドラグ性能ではないのでご注意を。
18フリームスはドラグチューン不可
より滑らかなドラグの滑り出しと安定した効き方を実現するには、スプール内部と支持部分のカラーをBBに換装するのが定番のチューンです。
【実践!18カルディアLT5000D-CXHフルベアリング化】ヘッジホッグスタジオMAX11BBキットの交換方法を徹底解説しかし。18フリームスは残念ながら他2機種とはスプール軸受部の構造が違い、チューンナップが出来なくなってしまいました。
ドラグ力と動作環境や操作性、チューンナップによるさらなる性能向上の余地を考えると、この3機種の中では大型ドラグノブ採用のカルディアのATDドラグがポイント高いですね
ラインクリップの違い
NEWモデルは、ラインクリップの形状が変更されました。
地味な変更ですが、個人的に地味に気に入っている部分だったりします⇓
【実は凄い!】ダイワ・パーフェクトラインストッパーの正しい使い方
【まとめ】17セオリー・18カルディア・18フリームスの差は?
比較してきた事をまとめると
17セオリー・18カルディア・18フリームスの違いは
- 剛性・耐久性
- 回転の滑らかさ
- 巻き感度
- 重量
において違いがあります。
回転の滑らかさに関わる部分はカルディアもフリームスも同等ですが、トータル性能では価格順通りです。
選ぶならどれ?
新しくなった18カルディアも18フリームスも実際に購入して使用していますが、どちらも非常にコスパが高いリールです。かなり釣りのレベルが上がっても十分に使えるモデルだと思います。
今回比較してきた3機種其々のオススメポイントをまとめてみます。
17セオリー
ダイワ(Daiwa) スピニングリール 17 セオリー 3012H (3000サイズ)
こんな人におすすめ
シビアな感度が求められる繊細な釣りに
ザイオン製エアローター装備で巻き出しが軽く滑らか!巻き感度の高さと滑らかさが要求される繊細な釣りにはセオリーがオススメです。
エリアトラウト、ブラックバス、アジングなどのライトゲームや、シーバスでは、小型のシンキングペンシルの使用時など向いています。
弱点
巻き上げ力とドラグ力の差から、パワーを必要とする釣りにはちょっと不向き
18カルディア
こんな人におすすめ
LTコンセプトの名の通り、軽くてタフなリールを求めるなら
タフデジギヤ&ザイオンボディで剛性と巻き上げ力が高く、パワーの求められる釣りにはセオリーよりカルディアに軍配。ラインローラーBBも搭載されているので、ライトラインや軽量ルアーを使用した釣りにも最適です。
レベルアップして、最初の買い替えを検討している方にオススメの価格。「もう高いリール必要なくない?」と思わせる程、上級者まで納得の行く性能です。
弱点
巻きの軽さと滑らかさという点でセオリーに劣る。
ベアリングの少なさも影響するので、この欠点はベアリング追加チューンでだいぶ補えます。
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フリームス
ダイワ スピニングリール 18 フリームス LT4000D-CXH
こんな人におすすめ
最初の一台で後悔したくない人に
入門機の域を超えています。1万円台前半で買えるスピニングとしては、他社の同クラスと比較しても最高だと思う。これから始める人は、とりあえずコレを最初に買っておけば後悔しないでしょう。
弱点
上位機種と比較すると、DS5やDS4といった素材の差によって剛性が劣るため、LTコンセプトといえど高負荷のかかる釣りには不向き。
そして、ライトラインを使用する繊細な釣りにおいては、ラインローラーBBが無いのは致命的なので、アフターパーツを組み込むベアリングチューンは必須になりそうです。
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