現在、シーバス釣りのメインに使用しているのがダイワ19セルテートLT4000-CXH
「セル子ちゃん」と名付け、苦楽を共にすること約一年が経ちました…
19セルテートは軽くてタフという謳い文句で登場した事もあり、「じゃー、試させてもらおうじゃん」と、ヒラスズキや青物掛けてゴリゴリ巻いて寄せたりもして…
大切にはしてきたものの、けっして甘やかさずにガシガシ使い倒してきた結果、さすがに疲れの色を見せるようになってきたセル子…
そろそろ点検も必要な時期なので、ダイワの修理を担当しているSLP(SPORT LIFE PLANETS)にオーバーホールに出すことになりました。
きょうせい
Contents
修理品受付の流れ
販売店にGo!
まずは愛機セル子を販売店に持ち込み、オーバーホールの依頼をします。
今回は、キャスティング錦糸町店さんにお願いしました。
修理依頼は購入した店舗が望ましいのですが、取扱店であれば基本的にどこでも受付してくれます。
ネットや中古で買った等の理由で気分的に販売店に持ち込みにくかったり、近くに取扱いでるお店が無かった場合には、SLP直通サポートサービスが利用できますよ↓
参考 SLP直通サポートサービスSPORT LIFE PLANETSオーバーホールには、Sコース(スタンダード)とPコース(プライム)がありますが、わからなかったら「おまかせコース」でOK!(SLPの技術者が、状態を見てコースを判断してくれます。)
また、修理の上限となる金額を指定しておけば、見積もりの際のキャンセル料がかからないので、とりあえずでも指定しておくといいですね。
気になる症状があれば、伝えておきます。
今回は、少〜しゴリ感が出始めていたので、それを記入してもらいました。
きょうせい
そして、今回はSLP+の会員になると不定期でもらえるクーポンも利用してみます↓
「オーバーホール割引クーポン」があるので、店員さんにスマホのクーポン画面を見せ、修理依頼書に「クーポン利用」と記入してもらう事で適用されます。(忘れないように)
修理依頼書を受け取り、これで依頼は完了です!
SLP Plusに利用登録しよう!
SLPの会員サービス「SLP plus」に会員登録をしておくと、今回のようなオーバーホール割引クーポンなど、様々な会員特典が受けられます。
登録無料なので、まだの人は登録しておきましょうね。
※登録方法などはこちらの記事へ↓
【SLPの新サービス】SLP plusでダイワ製品アフターサービスがさらに充実!SLP Plusの会員ページでは、修理品の進捗状況の確認をすることも出来ます。
預けたら、その日のうちにSLP+の修理依頼登録を済ませましょう!
預かり表に記載されている「問い合わせ番号」を入力します。
きょうせい
ちなみに、預けたばかりの時点では「未着荷」となっています。↓
通常SLPへの修理品の集荷は週一回。曜日はお店によって変わるようですが、この時のキャスティング錦糸町店は月曜日でした(タイミングを逃すと時間がかかる…)。
修理品がSLPに届くと「検査作業中」に変わります↓
きょうせい
さて、僕のかわいいセル子ちゃんはちゃんと見てもらえてるんだろうか…
あのゴリ感には気付いてもらえるのだろうか…
…
気になる!!
というわけで、
見に行く事にしました(笑)
きょうせい
SLPに潜入!
いざSLPへ!
さてさて、白々しい話の流れはともかく…
いざ立川にあるSLP(SPORTLIFE PLANETS)へ(人´∀`).☆.。.:*・゚
※ちゃんと事前に許可をいただいております(笑)。通常は持ち込みでの作業受付はしておりません
ここSLPは、ダイワの修理とカスタムパーツを扱う会社。
参考 ホームSPORTLIFE PLANETS従業員108名のうち、約70名が修理・メンテナンスやパーツの出荷等のアフターサービス業務に携わっているとのこと(2020年8月現在)
リールやロッドの補修パーツなどの在庫を見せてもらったけど、あまりに膨大な数に思わず声が出てしまったよ(社外秘なのでお見せできないのが残念…)
他にも、ダイワが提供しているカスタムオーダーや、公式のチューンナップサービスなどもここSLPで扱っています。
今回の取材にあたって窓口となってくださったのが、CRM室長の守屋さん。TwitterのSLP Plusアカウントの中の人だ。
※撮影のため、一時的にマスクを外していただいております
技術課長の古熊さん
そして、実際に作業を担当していただいたのが、同じく技術課の吉川さん
きょうせい
密着!19セルテートのオーバーホール
さて、挨拶もそこそこに、前もってSLPに届いているセル子ちゃんを早速診ていただく。
ハンドルを回してチェックする吉川さん
吉川:あー、これは…
早速ゴリ感に気づいた様子。
きょうせい
吉川:ノイズを感知するのに、コツがあるんですよ。ほら、ここをこうするとね…?
言われたようにリールを回してみると、おぉ…確かに…
きょうせい
例えばゴリ感と言っても、原因はギアだけではなくベアリングやその他の部品に由来する物だったりする事もあるのだけど、分解前に回してみるだけで、ノイズの質からある程度の原因はわかってしまうそうだ。
守屋:多い時は一日に1000台の修理が届く事もありますからね!経験が違いますよ( ̄ー ̄)ニヤリ
きょうせい
守屋:それでもダイワの出荷台数から見たら、SLPに来るリールの方が少ないと思います。ダイワの品質の良さを表していると言えるでしょうね。
多い時は1人で15台(/日)程のリール修理を行う事もあるそうで、リールを診ただけでどんな扱いをされてきたかも判るんだって…
きょうせい
古熊:いや、均等にノイズが出ているので丁寧に扱われていたと思います。扱いがラフだと、ギアに不規則なゴリ感が出たりするんですよ
きょうせい
という訳で、早速分解開始!
吉川さん集中モードに入ります!
その間、古熊さん守屋さんと雑談をしていると、あれよあれよという間にリールが分解されていく…
「リール弄ってるの楽しい♪」とニヤニヤしながら作業を進めていく吉川さん。
この仕事が根っからの天職だったようですね(;´∀`)
あれよあれよという間に分解されていくセル子…
ちなみにこれが、リールメンテに使用するプロの道具たちです↓
きょうせい
エンジンプレート脱着工具については、ネットで模造品が売られているのもご存知のようでしたが、エンジンプレートの脱着には繊細な感覚と技術を要す上に、ほんの少しズレただけでも内部を破損させてしまうリスクがあるため、安易に分解しない方がいいとの事。
はい、ものの2〜3分でバラバラにされてしまいました…
ちなみに、これまでウェーディングやオフショアでザバザバ波を被るような環境も多々あったのだけど、バラした時の水の侵入形跡は無し!
賛否両論あるマグシールドの効果については、正直なところ僕も少し懐疑的だったのだけれど、しっかりと護ってくれていた様子。特に、モノコックボディー採用のモデルは非常に防水性が高くなったとのこと。
そして、バラしたら各ベアリングもチェック
一つ一つ、指先で丁寧にチェックしていきます。
吉川:あー、これも少しノイズが出てますね…ほら、こうやって指で回してみると僅かに違和感ありません?
試しに僕も触らせてもらうと…
きょうせい
僅かなレベルの違和感でも見逃さない、研ぎ澄まされた感覚に脱帽です…
そして、ローターを分解してラインローラーもしっかりチェックしていく
吉川:ラインローラーに違和感ありませんでした?
実は、ラインローラーから僅かに異音がし始めていたのは気づいていたのだけれど、あえて依頼時には指摘しないでおいてみた。そういう部分もちゃんと診てくれるのか気になっていたんだよね…
きょうせい
今回のこちらの違和感の原因は、アームとラインローラーの隙間に溜まった汚れ!
丁寧に汚れを除去します。
吉川:マグシールドBBによってベアリング内部は保護されるものの、どうしてもこの隙間には汚れが溜まりやすいんですよね…
メーカーが推奨するマグシールド機のメンテナンス方法では、スプール上部から水をかけるだけとなっているのだけど、ラインローラーに関しては指でグリグリと動かしながら水洗いしてしまっても大丈夫だとの事(ただ、その際にローターの裏側に水が入り込まぬように注意ね)。
ラインローラーBBも勿論チェック!
こちらは問題ないとの事で、注油して戻します。
きょうせい
古熊:オーバーホールの際には基準となる状態が設定されていまして、その許容範囲を下回るようであれば部品交換を推奨させていただいております。ただ、使用には差し支えないものの性能に劣化が見られるという位の微妙な物に関しては、見積り時に説明と提案をさせていただき、お客様の意向に添って作業を行うという形になりますね。
不具合の出方によっては、実際にルアーを付けて泳がせてみたりと、使用している環境に近づけて症状の再現テストをしたりもするそうだ。
きょうせい
さて、セル子ちゃんの作業に戻ろう。
まず、ゴリ感の原因となっていたマスターギアの交換。
ギアがヘタってるようには見えないんだけどねぇ…
それと、ピニオンBBの交換と、各部清掃とグリスアップという感じのメニューになりました。
ちなみに、今回よりによってこの機種のマスターギアセットが欠品中という何とも不運なタイミング…(修理に時間かかるパターンね)
なので、今回の作業には特別にSLP秘蔵のデモ機用ギアを仮組みしてみてくれる事に。
バラしたので、マグオイルも注入しなおし。
このマグオイルも、オイルメーカーに独自仕様の物をオーダーしている専用品とのこと。
似たようなオイルがネットで出回っているという事もご存知のようでしたが、ダイワ純正のマグオイルとは違うとのことでした。
ローターを付けて軽く動作チェックします
機種ごとに部品の状態や調整に基準があるそうで、その許容範囲は上位モデルほど厳しくなるそうだ。
吉川:そうそう、例えばこのモデルだったら、組んだ時にハンドルの自重だけでローターが回らないとね~
守屋さんも一緒になってチェック!
なんだか楽しそう(笑)
まだ仮組み状態らしいけど、ギアを入れ替えたセル子ちゃんを回してみる。
きょうせい
吉川:まだ調整を詰められますね(ニヤリ)。そうそう…ちなみにハンドルに少しだけアソビがあると思うんですけど、これはあえて残してます。アソビが無いと、大きなショックがかかった時に緩衝する余地が無いため、その負荷はギアのダメージに繋がってしまうんですよ。
きょうせい
オーバーホール前の状態でも、そこまで気になる程のゴリ感でも無いと思っていたけれど、ギア入れ替え後とは雲泥の差でした。
古熊:お預かりしたリールは、その性能を最大限引き出せるように調整してお返しできるように努めていますが、さすがに本来の性能を越える状態にする事はできません。オーバーホールを例えるなら、車で言うところの「車検」です。いくらエンジンや足回り一式交換したところで新車と同じにはならない。なので、その時点での一番いい状態を目指すというのがオーバーホールの考え方です。
きょうせい
確かに新品と同じ状態を求められても無理だろうし、その製品としての基準以上の状態にはならないのもわかる。ルビアスがどう頑張ってもイグジストと同等にはならないものね…
ちなみに、スピニングリールのオーバーホールのプロセスをまとめると、こんな感じ↓
(指摘のある症状の内容によっては、実際の使用環境にできるだけ近づけてチェック)
ベアリングは一つ一つノイズを確認し、ドラグはワッシャーの潰れや毛羽立ち等の状態をチェック!不具合の原因を特定
とりあえず、セル子のこの後の作業は各部清掃と注油、そして調整を繰り返すという感じ。
通常は、販売店に預けてから1~2週間前後の作業ですが、今回の場合はギアが入荷しない事には作業を終えられないため、セル子はこのままお預けする事になりました。
ついでなので色々聞いてみた
せっかくなので、気になっていた部分を色々と聞いてみましたよ。
きょうせい
SLP:はい、ウェアや用品を含め基本的に全てのダイワ製品が対象になります。ただ、常識的に使い捨てである仕掛けやエサなどは無理なのと、どの範囲で修理出来るかは製品の仕様にもよるので、ご相談いただければと思います。
きょうせい
SLP:特殊な取付をしてあるパーツでなければお受けできる場合もあるのですが、万が一脱着時に破損があった際には補償ができなくなるので、基本的には社外パーツは外してSLPにお出しいただく形になります。純正カラーをベアリングに替えただけのチューン程度でしたら特に問題ありませんが、その部品自体に不具合があったとしても、純正の指定部品での対応となりますね。
きょうせい
SLP:SLPのカスタムパーツは純正部品と同様の扱いになるので大丈夫です!
きょうせい
SLP:例えば製品に極端なチューン等を施すと、それは耐久性を犠牲にするデチューンでもあるわけです。そのような仕様でお返しする事はトータルの性能を保証できなくなるので、マグシールドは元に戻してのお返しとなりますね。
きょうせい
SLP:基本的に、折れてしまったロッドはそのピースの新品交換となりますね。
きょうせい
SLP:お盆や年末年始の休業前後は作業が集中しがちですね。また、多くの釣り物がシーズンオフとなる冬季は、メンテンナンスに出される方が多くなります。
きょうせい
SLP:部品は、製造終了後6年間は供給できるようになっております。その在庫が尽きるまでは修理をお受けできますよ!
きょうせい
SLP:はい!分解するとサポートを受けられなくなると思われている方もいらっしゃるようですが、たまに「分解したら戻せなくなってしまった」と、バラバラの状態でお預かりする事もある位ですので…
その他の質問については、SLP Plusのコラムに解答編があります↓
参考 アンケートで頂戴したご質問へ回答します!SLP plus修理例や、道具を長く使うための扱い方や豆知識なども豊富に書かれているので、他の投稿も読んでみると役に立つ事があるかもしれません♪
帰ってきたセル子とメンテナンスレポート
さて、今回は直接やり取りをさせていただいたのですが、通常は見積もり設定をしていると見積もりの案内が届きます。
この見積もりの内容でよければ本作業に入り、完了しだい「出荷待ち」に変わります。
出荷が完了になるとEメールにて案内が届き、画面は完了へ
この時、修理明細もPDFで見る事ができます。
釣具店に修理完了品が届いたら、店員さんから電話があるので引き取りに行き、お店で代金を支払いましょう。
というわけで、おかえりセル子
交換した部品は、例え壊れていても返却してくれます。
ギアが新品に交換され、取材時の仮組みでは僅かだが残っていたノイズやガタもしっかり調整シていただいたようで、またあのシルキーな巻き心地が復活…
厳密に言えば新品と全く同じでは無いのでしょうが、キチンと調整がなされており非常に快適になって帰ってまいりました。
今回のオーバーホールにかかった金額は以下のとおり。
品名 | 金額 | 備考 |
ピニオン+ドライブギアセット | 9,800 | ゴリ感 |
ピニオンボールベアリング(B) | 1,300 | 回転不良 |
オーバーホール手数料(プライムコース) | 3,200 | ※20%OFFクーポン使用 |
合計 | 14,300 | |
消費税 | 1,430 | |
税込合計金額 | 15,730円 |
ジュラルミン製のマスターギアセットがとても高価(レガリス買えちゃう…)。かなり酷使したから仕方がないとはいえ、結構な出費に…
けど、これでまた快適に使用することができます(●´ω`●)
今後も大切に使い、定期的にオーバーホールに出したいと思います。
きょうせい
まとめ
正直な話をすると、実は以前SLPに修理に出したリールが満足の行く仕上がりになっていなかった事があったんですね。ネット上で悪い評判を目にした事もあるし、実のところSLPには少し疑いを持っていました…
しかし、何度かTwitterを通してSLPplusアカウントの守谷さんと交流させて頂いた事がきっかけで、「実際のところどうなんだろう?」という真偽を見極めたい気持ちから、思い切って取材をお願いした次第です。
実は取材時に「悪い部分も全て包み隠さず書いて下さい」と言われていたのですが、実際に作業を見学させていただきお話を伺ったりしていると、SLPの技術者の方々は素人感覚では決して分かり得ない知見とスキルを持っている事がよくわかりました…
逆に技術や対応に自信を持っているからこそ言える言葉だったんだなと…
たしかに、年間数万件も作業をしていれば中には作業ミスもあるかと思いますが、実際にその数は減っているそうで、精度はかなり向上したとのこと。僕のように疑い深く「大切な釣り具だから信頼できるところに預けたい」と思っている方がいたら、安心してSLPにお任せしていいと思いました。
もし何か不安や疑問があれば、納得行くまでSLPに聞いてみるといいと思う。ユーザー一人一人に出来るだけ寄り添った対応をしてくれると思います。
参考 ホームSPORTLIFE PLANETS 参考 ホームSLP PlusSLPは修理だけでなく、ハンドルやスプールなどを中心としたダイワリールのカスタムパーツも手がけているので是非チェックしてみて下さいね。
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