モアザンブランジーノAGSという、ダイワの最高峰のシーバスロッド
僕もお気に入りで使っている物がいくつかあります。
その中のモデル「97MML」はもう型落ちとなってしまったけど、今後買い替えてしまったりした時の備忘録的に、使用してみたインプレッションを書いてみます。
Contents
morethan BRANZINO AGS 97MMLというロッド
僕がこのブランジーノAGS97MMLを購入したのは、今からちょうど3年前になります。
このロッドは、ダイワのテスターであるミッチーこと高橋慶朗氏が監修したモデルです。
この前作である初代ブランジーノの時に出ていた名竿96MMLをさらにブラッシュアップさせたもので、より強くトルクフルに、より軽く、そして若干のロングレングス化をしたモデルになります。
普段は、メインにしている湾奥においてはブランジーノAGSの87MLを使うことが多いのだけど、足場の高い堤防や大規模河川での秋~冬にかけてのランカーシーズンには、やはりパワーと長さのあるこのロッドが活躍するんですよね。
遠投を要求される大河川のオープンエリアや、足場の高い堤防、磯場やサーフ等での使用を想定されて設計されており、パワーとレングスは必要だけど、細かい情報もしっかり得られる繊細さも持ち合わせた、なんとも絶妙なセッティングになっています。
morethanBRANZINO AGS97MMLの仕様
全長(m) | 2.92 | |
継数(本) | 2 | |
仕舞(cm) | 150 | |
自重(g) | 137 | |
先径/元径(mm) | 1.4/12.9 | |
ルアー重量(g) | 7-35 | |
ライン | ナイロン(lb) | 8-16 |
PE(号) | 0.6-1.2 | |
カーボン含有率(%) | 99 | |
メーカー希望本体価格(円) | 86,000(税別) |
ブランクス
ブランクスの素材はSVFコンパイルXグラファイト
これは、カーボン繊維を束ねるレジンと呼ばれる接着剤を極限まで減らし、カーボン繊維の高密度化をしたもの。通常のカーボンより細身でも強く、高感度な素材です。
これを、ネジレに強い45度で巻き上げ(X45)、バット部分を3DXという3軸織物のカーボンシートで締め上げることで、軽量でありながら強靭!
微細なバイトやルアーの挙動をしっかり感じつつも、流芯の強い流れや、足元のテトラの突っ込みもねじ伏せて魚を浮かせる事ができるパワーという、相反する要素を高次元で兼ね備えたブランクスになっています。
AGSガイド
ダイワが開発したカーボン製のガイドAGSは、何と言っても軽さと伝達能力の高さが特徴。
以前、モアザンの93MLとモアザンAGS93MLというモデルを所有したことがあるけれど、ガイドが違うだけで、キャスト後のティップの収束の速さや、感度はまるで別物だった。
以来、このAGSガイドはすっかりお気に入りです。
グリップ
セルテート3012Hを装着した時の、グリップエンドからリールフット中央までの長さは35.8cmです。
操作性、重量配分、そしてファイト時に楽な長さとのバランスは絶妙だと思う。
ちなみに画像上のブランジーノAGS87MLは参考までに31.6cmです。
もはや暗号?複雑すぎるダイワのパワー表記
MMLというパワー表記について、ちょっと説明が要ると思う
ダイワのパワー表記はちょっと複雑で、通常はL(Light)、ML(Medium Light)、M(Medium)などにパワーのクラス分けがされているのだけど、ダイワのそれは更に細かく設定されています。
MMLというのはML寄りのMのこと。Mよりは少しやわらかいという感じです。
ちなみに、MLMというネットワークビジネスみたいなパワー表記もあるのだけど、これはM寄りのMLで、MMLより柔らかい。
ややこしいので整理するとですね…
L⇒LML⇒ML⇒MLM⇒MML⇒M⇒MH⇒H
という順番になります。(もっとあったと思うけど、今回は省略…)
現行モデルは、この中間表記の物が減って、代わりにティップとバットに異なるパワー表記を使用したという物が出てきました。
たとえば、ML/Mという表記だと、従来のようにロッド全体のパワーを示しているMLMとは異なり、ティップにML、バットにMという組み合わせをしているという意味。
ちょっとわかりにくいけど、ここまで細かく分かれているのは上級クラスの物だけ。
それだけ、それぞれのシチュエーションに合わせたこだわりのセッティングがされているという事なんだろうけど、理解するまではどれを買えばいいのやら…本当にわかりにくい。
自分の求める理想がはっきりしている人しか買えないロッドです。
ブランジーノAGS97MMLのいいところ
この97MMLを使ってみての、お気に入りのポイントをあげてみます。
とにかく軽い
97MMLの長さは9.7ftとロングレングスなのに137gしかない。同じブランジーノシリーズの87MLより1ft長く、よりパワーもあるのにもかかわらず同じ重量。驚異的。
これは、このレングスとパワーの割には、少し小さめのガイドが採用されていることが大きいかと思う。
この、やや小さめのAGSガイドによって全体の軽量化に貢献していることはもちろん、キャスト後のティップの収束がとにかく早く、振りぬけが物凄くシャープになっています。
ティップがブレない事で、当然キャスティングの精度は上がるので、何だか上手くなった気がしてしまう。
穂先の軽量化に伴い重心が手元にくるので、ロングロッドなのに持ち重りせず、長時間の釣りでもとにかく疲れない。
超高感度
SVFカーボンとAGSの特徴でもあるのだけど、とにかく感度がいい。
ティップまでシャキッとしているので、バイトの出方は金属的。ルアーの挙動変化もしっかり伝わってくる。
圧倒的パワー
秋のハイシーズンは、アングラーの数も多い。橋の明暗部は誰にでもわかる好ポイントなので、常に叩かれプレッシャーは高くなっています。
だから、そんなプレッシャーを避けて流芯に避難しているシーバスを狙うのに、ロングレングスによるアキュラシーの高さは武器になるのだけども、掛けてから先が問題になる。
産卵に向けて体力を蓄えた元気のいい魚だ。流芯の強い流れに乗って一気に逃げようとするシーバスを、最初に橋脚から引き離さないとまず獲れない。プレッシャーが高いからこそ、タイトに攻める必要があるから、なおさら…
そんな時に、問答無用で魚を橋脚から引き剥がしてくれる安心のパワーを持っているのがこの97MML。
自己記録である95cmのシーバスを引きずり出すことができたのも、このロッドの持つ力によるところが大きかったと思う。
その時は、遠投が必要で足場も高い激流ポイントでの釣りだったのだけど、暗闇の中でその魚を掛けた時は、遠くの水面に響く低く鈍い水音に、背掛けでスレったボラが水面で暴れているのかと思った。
なので、強引に激流の中を一気にゴリ巻きしてしまったのだけど、寄せてきてライトに照らされた巨大な魚体にびっくりした思い出がある。
この魚を獲ることができたのは、このロッドの性能のおかげだと思っています。
ブランジーノAGS97MMLの不満点
ラテオと同じリールシートと緩みやすさ
参照:ダイワ(ラテオのシート)
リールシートの握り心地についての不満はないが、緩みやすい。何度も締め直さないと使えない。
それと、下位モデルであるラテオと同じグリップが採用されている事も不満。フラッグシップに位置づけされる高級ロッドなのだから、そこは無駄にでもプレミアム性を感じられるパーツにしてほしかった。
ティップまでハイパワー
これは完全に好みの問題なんだけど、欲を言えばもう少しティップが柔らかかったらなと思う。
ロッドをしっかり曲げられないと魚はバレやすくなるけれど、このパワーだと、フッコクラスでは曲げきれない…
曲げるためにパワーファイトをするので疲れる(体力的問題)
そして、ティップが柔らかいともう少し軽いルアーの操作性や情報量が増えるし、バイトも弾きにくくなるんだろうと思う。
取り扱いにとにかく気を遣う
カーボンで出来たAGSガイドは、感度や軽さに関してはもの凄いメリットなんだけど、とにかく繊細だ。
暗闇で、ラインがガイドに絡んだままバイブレーションなぞフルキャストしようものなら、一発で割れてお陀仏となります。
ブランジーノの説明書には、リーダーの結束部を1番ガイド(一番上のトップガイドから数えて2番め)より中に入れてキャストするなと書いてある。とにかく衝撃に弱いので、ノットが引っかかったりして瞬間的な衝撃がかかると、呆気無くパキっといきますから(経験者)。
そして、ガイド割れたら部品が高いです…
ブランクスも高弾性なので、ぶつけたりの衝撃は論外だけど、ファイトの際にあまり極端な角度をつけたりすると折れますからね。
特にウェーディング時のランディングは怖い。というか、このロッドのウェーディングでの使用は向かないと思う。ミッチーは使ってるけど…
この97MMLを最大限生かすには
このロッドが最大限活きるシチュエーションは
・足場の高い沖堤防
・遠投が必要な大河川の急流
・荒すぎない磯場
・サーフ
という感じです。
使用ルアーウェイトは7~35gとなっているけど、使いやすいルアーは
・30gくらいまでのバイブレーション
・12cm~14cm位のミノー
・20g前後のシンペン
あたりですかねぇ
7gとかのルアーは使えなくはないけど、正直ロッドのパワーに情報がスポイルされてしまい、何やってるか感じられないし、キャスト時に曲がらないので飛ばせない。
そして、トウィッチとかの小技をたまに利かすにはいいけども、連続ジャークはいくら軽くてもレングスが長いのでやっぱり疲れます。不向き。
そして、しっかり曲げるためにはパワーファイトになるので、ラインも1.2号位を推奨したい。
フックもがまかつのMHなどの強めの物でバランスをとらないと、このロッドを生かしきれません。
さいごに
少し不満な部分はあったものの、長くても軽く、抜群の操作性に、高感度でパワーがあるという…なんだか相反する要素を高次元で実現させた凄いロッドだと思う。
このロッドがあったからこそ獲れた魚も沢山いました。
しかし、その繊細さから初心者には絶対にオススメしません。きっと不満なだけになると思う。このロッドをしっかりと扱える中級者以上のアングラーにはオススメしたい、宝物になること間違いありません。
お気に入りだったこのブランジーノAGSでしたが、購入した翌年の2016年にモデルチェンジされてしまう事に…
最後に追加されたはずのこの97MMLは、すぐにはモデルチェンジになると思ってなかったのに、発売から2年と短命なモデルになってしまいました。
現行モデルでは、97ML/M・J【STREAM LUNKER CUSTOM 97】として、その魂は引き継がれています。
不満だったリールシートも変わっているし、何よりティップ部分にML、バット部分にMクラスを使用することで、より繊細でトルクフルになっているのが想像できます。
ダイワ(Daiwa) シーバスロッド モアザン ブランジーノ AGS 97ML/M・J
そして、気に入っていたものの、やはり湾奥河川中心の釣りではあまりに出番が無くて…手放しました(;_;)/~~~
かわりに、新製品買っちゃいました♪
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