ヤマハSteve GaddモデルのスネアBSD-13SGをレビュー

小さい音量を求められる時って、スネアの音ってどうしても浮いてしまいがちですよね。

そんなシチュエーションで、僕はヤマハのスティーブ・ガッドモデル「BSD-13SG」を重宝しています。

今回は、愛用のこのスネアについてのレビューを書いてみました

BSD-13SGのスペック

YAMAHA BSD-13SG Steve Gadd Signature
ヤマハ・スティーブ・ガッドシグネチャースネアドラム
サイズ 13✕5インチ
シェル バーチ6プライ
フープ 1.6mmスティール・プレス 8テンション
スナッピー SGモデル専用ハイカーボン10本

Steve Gaddモデルのスネアとは?

ヤマハとスティーブ・ガッドとの歩みはとても長いもので、40年以上になるそうだ。

ヤマハがガッドモデルのスネアを出したのは、かれこれ20年位前だったと思う。今や貴重なメイドインジャパン。おそらくサカエで製造された物と思われます。

このガッドモデルというスネアですが、実はサイズとマテリアルの違いで計6種類(!?)同時に発売されたものです。

その6種類というのがこちら↓

  • スティール14”✕5½”
  • ブラス14”✕5½”
  • メイプル14”✕5½”
  • バーチ14”✕5½”
  • メイプル13”✕5”
  • バーチ13”✕5”

こんなに沢山あるのですが、ガッド(Gadd)は、神(God)と称されるような世界屈指のドラマーの一人だ。

ガッドが関わった作品は、多岐にわたるジャンルの上に数も膨大。もはや聴ききれない位なのだから、それだけ様々なサウンドが必要だったということなんでしょう。

その中で、僕が所有しているのが13インチのバーチのモデル

中でも、ガッドが最も活躍していた70~80年代の録音技術では、とにかく余計な倍音が無い方が録りやすかったし、その後の音の加工もしやすく喜ばれた。

だから、当時ガッドがヤマハと開発したYD-9000(後のレコーディングカスタム)は、バーチ材にシェルの内側まで塗装された上に、ハイテンションラグという、わざわざ鳴らないような仕様で作られていました。

そして、ガッドはその上でさらにEVANSのハイドローリックという、ヘッドの内側にオイルの入っている、とにかく鳴らないデッドなヘッドで使っていたという徹底ぶりだったようです。

このスネアが作られた当時は、もっと録音技術も進んでいて、よりレスポンスが早く、良く鳴る楽器の方が好まれるようになっていたし、ガッドもタムにコーテッドヘッドを使うようにもなってきていたけれど、昔の名残りか本人の好みなのか、とにかく「徹底して余計な倍音やノイズを抑える」という工夫が随所に見られるスネアです。

BSD-13SGの特徴

両面塗装されたバーチシェル

シェルは6プライのバーチ(樺)材で、レコーディングカスタム同様に内側まで黒く塗装されています。

内側に塗料を塗ると、そのぶん木の本来の振動を抑える事になるので、倍音が程よくカットされ、発音がハッキリとした硬質な音がします。

おかげで、マイクの乗りはすこぶる良い上に、その後の加工もしやすくなるというのが狙いなんだろうね。

フープも黒い

そして、フープも黒く塗装されている。

元々ルックス重視でそうしたような気もするけど、この塗装によって金属から出る高い周波数のノイズを抑える効果も狙っているのだろうか。

しかしこの塗装、とにかく剥がれやすいのが難点…

薄いスティールのプレスフープだ。当然、柔らかく歪みが出やすい。それをただ塗っているだけなので、まぁ、仕方がないよね。僕のもボロボロです…

スモールラグ

ラグは、メイプルカスタムと同型で、ヤマハでは「Small lug(スモールラグ)」と呼ばれているものが付いている。

ストレイナー

ストレイナーは、シグネイチャーモデルに似つかわしくないチープな物だ。

当時のヤマハにはもっと見た目の良い物が出ていたけど、ガッドはコレが好きだったんだろうか?

スナッピー

そして、響き線はこのスネア専用に開発された物で、ワイヤーが間引きされた特殊な形状だ。ワイヤーが10本しか無いので、当然共鳴も少なくタイトだ。

ただ、これはちょっとタイトになりすぎるので、普段はピュアサウンドかカノウプスの物に替えて使用しています。

スネアベッドが深い

そして、このスネアの特徴的な部分が、かなり深く掘られたスネアベッド。

ただ。これはちょっと諸刃の剣なところでもあって、僕は正直不満でもあるポイントだ。

スネアベッドを深くすることで、他の楽器からの干渉を抑える狙いなんだろうけど、深すぎてチューニングがやりづらい。

ヘッドをしっかり張らないとシワが出てしまうので、必然的に高いピッチにせざるを得ず、新品のヘッドは馴染むまで扱いづらい。

スネアベッド付近のチューニングボルトは特に強く締め込む必要があるので、フープは歪むのが前提なんだろう。通常はスナッピーコードを通す部分はホール状になっているのだが、これは潔くカットしてある。

おかげで、スタンドにマウントする際の位置決めに制約が生じてしまう。

僕にとっては、スネアベッドが深いことで受けられる恩恵よりも、デメリットの方が大きいと感じます。

BSD-13SGのサウンドは?

肝心なサウンドだけど、この徹底して余計な倍音を抑える工夫がされているおかげで、やはり、凄くタイトな印象。

ピッチを上げると、フープも柔らかいために振動を緩衝しやすくなるので、かなりタイトになる。

それに、低くすると、ヘッドを張り気味にせざるを得ないボトムとのバランスが悪い感じ。

中音域でのチューニングが最も気持ちが良いと感じるが、13インチなのでそれでも高めのピッチにはなる。

そして、サイズが小さくてタイトなキャラクターであるこのスネアは、何と言っても小音量のセッションの時にはすこぶる使いやすいというのがいいところだ。

特に、小さめのハコの時でも、あまり気兼ねせずにリムショットをガシガシ掛けられるのが嬉しい。

ガッドシグネイチャーの13インチの音は、自身のバンドの作品である「STEVE GADD BAND / 70 STRONG」というアルバムで聴くことができます。

「Foam Home」で使用したと、本人がインタビューで話しております。

この録音に使用されたのがバーチかメイプルかまでは不明だが、こんな感じの音だ。

BSD-13SGは、現在入手がやや困難…

なんだかんだ、お気入りのスネアです。13インチのウッドシェルなので重量が軽く持ち運びが楽なのもあり、ついついコレを持って行きがちに…

スティーブ・ガッドモデルのスネアドラムは、その後マイナーチェンジがあり、ウッドフープに換装されて発売されていた時期があったが、その時に13インチのモデルは姿を消している。

そして、現在は廃盤となっているので、発売当時に6種類あった中の一つで、しかもまだ13インチが不人気だった時代。このスネアは現在入手しようと思ってもなかなかドンピシャの仕様が出回りません…

現在ガッドモデルのスネアは販売されていませんが、近年新しくなったレコーディングカスタムもガッドが開発に協力をしているそうです。

新しいレコーディングカスタムの詳しいスペックは、こちらをご参照ください↓